空の豆 豆本紹介

「空」
空の豆 雲の峰行く 飛行船
そらのまめ くものみねゆく ひこうせん

花の雲 夜空彩る 宴かな
はなのくも よぞらいろどる うたげかな

戯れる 水の面に 雲の峰
たわむれる みずのおもてに くものみね

風船が ふわり逃げ出す 夏祭
ふうせんが ふわりにげだす なつまつり

夕立の 駆け抜けた跡 空の虹
ゆうだちの かけぬけたあと そらのにじ

花開き 夜空彩る 火の粉かな
はなひらき よぞらいろどる ひのこかな

空埋める 朱の雲なり 赤とんぼ
そらうめる あけのくもなり あかとんぼ

置き換わる 色だんだんと 秋日暮れ
おきかわる いろだんだんと あきひぐれ

涼やかな 鈴虫の音の 聞こゆ空
すずやかな すずむしのねの きこゆそら

雲居より 舞い降りる白 冬の使者
くもいより まいおりるしろ ふゆのししゃ

奴凧 往きて還らぬ 空遥か
やっこだこ ゆきてかえらぬ そらはるか

電線が 空に奏でる 虎落笛
でんせんが そらにかなでる もがりぶえ


「天」
天津風 その道示す 黄砂かな
あまつかぜ そのみちしめす こうさかな

天と地の 狭間行き交う 揚げ雲雀
てんとちの はざまゆきかう あげひばり

天高く 揚がる白球 夏の夢
てんたかく あがるはっきゅう なつのゆめ

天目指し 樋伝う花 空の色
てんめざし といつたうはな そらのいろ

天仰ぎ 駆け出す子らを 追う驟雨
てんあおぎ かけだすこらを おうしゅうう

顔上げて 日輪を追う 花一輪
かおあげて にちりんをおう はないちりん

カササギの 渡す逢瀬の 天の川
かささぎの わたすおうせの あまのがわ

天と池の 名月望む 夜釣りかな
てんとちの めいげつのぞむ よづりかな

風立ちて 揺らぐ水面の 月の影
かぜたちて ゆらぐみなもの つきのかげ

吐く息の 昇り行く先 北斗星
はくいきの のぼりゆくさき ほくとせい

冴え渡る 天に鋭き 天狼星
さえわたる てんにするどき てんろうせい

満天の 星の花咲く 冬木立
まんてんの ほしのはなさく ふゆこだち

身も蓋もない説明

 御自身のイメージを大切になさりたい方には非推奨です。

■「空」に関する俳句
空の豆 雲の峰行く 飛行船
 入道雲を背景に飛ぶ飛行船が豆粒のように見える。

花の雲 夜空彩る 宴かな
 夜桜で花見の酒宴。

戯れる 水の面に 雲の峰
 ビニールプールとかで水遊びしているその水面に入道雲が映っている。

風船が ふわり逃げ出す 夏祭
 お祭りでヘリウム風船から手を離してしまううっかりした子供が必ず一人は居る。

夕立の 駆け抜けた跡 空の虹
 空に掛かる虹は夕立が通り過ぎた後に残る足跡のようだ。

花開き 夜空彩る 火の粉かな
 俳句というよりなぞなぞかも知れん。答え「花火」

空埋める 朱の雲なり 赤とんぼ
 私の出身小学校と中学校は二学期の始業式終了直後、生徒と入れ違いで赤とんぼの集団が校庭を埋め尽くしていた。

置き換わる 色だんだんと 秋日暮れ
 夕焼けのグラデーション。

涼やかな 鈴虫の音の 聞こゆ空
 鈴虫の声が聞こえる。
 スずやかな スずむしのねの キこゆそら→ススキ

雲居より 舞い降りる白 冬の使者
 俳句というよりなぞなぞかも知れん。答え「雪」

奴凧 往きて還らぬ 空遥か
 糸を継ぎ足し継ぎ足し凧を揚げ過ぎ見えなくなった挙句、糸が切れて戻って来なかった。

電線が 空に奏でる 虎落笛
 冬、風で電線などがヒューヒューなるのを「もがリぶえ」と呼ぶ。
 電線が空に向かって虎落笛演奏中。


■「天」と「天体」に関する俳句
天津風 その道示す 黄砂かな
 黄砂の季節は風の通り道が肉眼で見える数少ない機会。

天と地の 狭間行き交う 揚げ雲雀
 ポートアイランド二期工事の広大な空地からヒバリが飛び立つのを見た。

天高く 揚がる白球 夏の夢
 高校野球

天目指し 樋伝う花 空の色
 俳句というよりなぞなぞかも知れん。答え「朝顔」青系統の花

天仰ぎ 駆け出す子らを 追う驟雨
 雨粒が一滴顔に当たって「あっ!」と駆け出す子供を追いかけるように降りだす夕立。

顔上げて 日輪を追う 花一輪
 俳句というよりなぞなぞかも知れん。答え「向日葵」

カササギの 渡す逢瀬の 天の川
 七夕

天と池の 名月望む 夜釣りかな
 天にかかる月と池に映る月、両方楽しむ夜釣りの釣り人。

風立ちて 揺らぐ水面の 月の影
 風が吹いて水面に映った月が揺れている。

吐く息の 昇り行く先 北斗星
 冬の夜、寒気の中で吐き出した息が白く凝って上って行く先に目を遣ると、北斗七星が輝いていた。 (アルコル…所謂「死兆星」は、例の漫画では「見えた人」が近々亡くなるとなっていますが、各国の伝承では大抵、「見えない人」が近々亡くなるそうです。加齢等により視力が衰えて暗い星が見えなくなる→先が長くない)

冴え渡る 天に鋭き 天狼星
 冬の夜、寒気に冴え渡る天に一際鋭く輝く大犬座のアルファ星シリウス。

満天の 星の花咲く 冬木立
 冬枯れの木立の枝の向こうに掛かる星々が花のようだ。

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